京都 Archive
広島サッカー、悲喜それぞれの頂点:第34節:○4-1 京都@ビッグアーチ
きのりんと話していたのだが、広島のサッカーを応援し始めてから最も気持ちいいサッカーを見た、というのはどうも共通の感想のようだ。ただ、最も優れたサッカー、と言うわけではないのには注意である。
この上なく気持ちの良いサッカー
柳沢、ディエゴをあざ笑うかのように20本、30本とつながるショートパス。3人、4人とプレスをかけてもするするとプレスをかいくぐっていく。パスが回っていくとバックスタンドからも大きな拍手が。B6からは「オーレ!」の大合唱。ボールを持ったカズが顔を上げると洋次郎が、ハンジェが、公太が走る。それを見て京都は必死に距離を詰める。が、何もなかったかのように槙野とパス交換。
気を抜くと京都陣内に深く、深く打ち込まれる匕首のようなクサビのパス。恐怖で下がっていく京都のディフェンスライン。空いたバイタルエリアに侵入し、かき回す陽介のドリブル。鉄槌のようにたたき込まれる浩司のミドルシュート。ラインが上がったと思ったらあざ笑うかのようにディフェンスの裏に落とされる、カズや盛田からのロングフィード。そして飛び込む槙野。なぜお前がそこにいる。
中島がぬるぬるとドリブルで上がっていく。クサビのパスから洋次郎がダイレクトで寿人へ、さらにダイレクトで裏に通し、浩司が走り込む。ゴール、かと思いきやオフサイド・・・みたいなのが2つ。
こんなに楽しいサッカー、ねえよw
でも、試合後、寿人は泣いた。
この上なく悲しいサッカー
こんなに悲しい試合もそうはない。
試合前
僕たちは前の晩から夜通し車を運転して朝8時頃到着し、ビッグアーチでコレオの準備をしていた。

やはり、夜明けのビッグアーチは美しい。アストラムラインからビッグアーチへ至る道は日本でも有数の美しいスタジアム情景だと思うのだ。この時、このスタジアムでチームメイトとしての陽介やハンジェを見るのはおそらく最後、少なくとも区切りになるのだろうと、悲しくなった。

それでもビッグアーチは、美しい紅葉を背に朝日を浴びていた。これも移りゆく時間の中では仕方ないことなのか。
1点目
ハンジェの爆発的ダイアゴナルランがB6からもよーく見えた。と、思ったらカズから・・・ずっと一緒に戦ってきたカズから、ハンジェの歩幅まで測ったようなロングパス。これはハンジェのゴールきたか!?と思ったのだが、なんと止めやがった。しかし、ハンジェが「あれがどうして入らないのか。それが俺の人生なんです。」と語ったシュートを寿人のゴールにつなげたのも、またハンジェである。
ハンジェは手を抜かない。
ハンジェは逃げない。
ハンジェは戦う。
このゴールは、ハンジェそのものだったのかも知れない・・・と思うと、また悲しくなった。
2点目、3点目
またハンジェだった。この日のハンジェはすごかった。誰もが「なぜ契約しないのか」と憤るほどに。
サイドでのハンジェは、今や絶滅が危惧されるクロサーである。何回も引き合いに出しているが、マンチェスター・Uはベッカムがクロスを上げる1秒を作るためにはどうするか、というところから戦術を作り上げた。広島ではそう言うことではないのだが、ボールを保持してペナルティエリアをなぞるようにボールを回し続ける広島のサッカーでは、ハンジェのための1秒が数多く生じる。そこから放たれるクロスは、京都・加藤監督のカードを切らせるに十分な脅威を与えていた。
そんなハンジェがフリーで蹴ることができるコーナーキックほど、得点の匂いがするコーナーキックはない。何本も危険なシーンを演出した右足は、どうして今まで得点がなかったのか分からなかった盛田のゴールに結びついた。もう一度放ったコーナーキックは、槙野をDF得点王に押し上げるキックとなった。
一番好きな海外のサッカー選手はベッカムだ、と内外共に明言しているクロサー大好きな僕としては、このクロサーを失うことを思うと、また悲しくなった。

そして、後に中国新聞サイトでこの写真を見て、たまらなくなって泣いた。
4点目
槙野のFKからのゴール。多分揺れていたのだと思われるシュートは寿人の前にこぼれた。
ゴールを決めた寿人は、こちらに走ってきた。キャプテンマークを外しながら。沢山の数字が書いてあった。ケガした選手の番号、今期契約終了の選手の番号、そして、ひときわ大きく書かれた10番。既に泣いている人もたくさんいた。僕は戸惑うばかりだった。
それが、「10番、ありがとう」なのか、「10番、残ってくれ」なのか分からなかったからだ。
しかし、時間が経つにつれて後者なのだろうなと思うようになった。正直、何をしたらいいのかとか分からない。何がしたいのか、とかもよく分からない。
試合後のサンフレ劇場
敢えて、おそらく最後の陽介出演のサンフレ劇場、と言う。2007年と今回の両方を目の前で見たのだが、今回は「もう決めている」という感じが非常に強かったのだ。もう一つ圧倒的根拠はあるのだが、それはあとで。
3人は、ご覧のようにスタジアムにほとんど人がいなくなったような状況になって初めて出てきた。シーズン終了セレモニーの後スタジアムを一周し、引き上げた。そして、一度お立ち台を引っ込めた後「劇場やる」と言うことで始まったものだ。

良太が「ベンチで応援頑張った!」とか、槙野が「俺がサンフレッチェの槙野智章だ!センキュー、センキュー、センキュー!」「秋葉市長に専用スタジアム直訴してきます!そしたら劇場も目の前です!」とか話していたのですが、もう雰囲気が暗い。
陽介が話している内容は全く覚えていない。
陽介が自分の言葉で話していない感じがしたのである。
陽介が移籍する、と確信した理由
実は、劇場での槙野の発言である。細かいところは違うが、引用としてみたい。
みんなはこれからオフになりますが、僕はしばらくオフになりません!
雑誌とかテレビの取材とかで12/16まで仕事がいっぱいだからです!
それというのも、良太と陽介が仕事をキャンセルしまくったからです!
ま、その分だけこちら(金)も入ってくるんですけどね!
良太が仕事をキャンセルするのは分かる。ケガしていて危ないからだ。しかし、陽介が仕事をキャンセルするというのはどういうことだ?
- 代表に選ばれてしまったので時間がない
- 休みたい
- 移籍するから広島の選手として出られない
代表のキャンプ(12/8~10)には選ばれてないし、普通に考えて移籍でしょ・・・。
もし移籍するとしたら・・・
実際、陽介が移籍するとしたら、死んだじいちゃんと見た吉田での立ち姿からずっと見ている僕としては酷く狼狽すると思うし、できることなら残って欲しいとも思う。彼が居れば、きっと広島は近いうちに2回目の黄金期(東洋工業を入れると3回目か)を迎えられる気がするし、それも確信している。
でも、彼の上昇志向の強さも知っているし、プロとしてより高く評価されたいという気持ちが強いことも知っている。彼のような運動量に任せたプレースタイルは、そのままでは年を取ってプレーできない。三十代半ばまでに稼ぎきらなければならないという危機感もあろう。
だから、積極的に引き留められないという気持ちもあるのだ。
そんなことを、もう誰もいなくなってしまって冷え込んてしまったビッグアーチで考えていました。

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